第2章

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「でもでも、もとはといえば、あいつがマスクを取ろうとするからいけないんだって。俺がわざわざ見ず知らずの男に鼻水ぶっかけに行く程、頭わいてねーから」 「そんなん、通用したらいいけどな」  あ、突き放された。 「で、これからどこへ行こうとしてるわけ」  佐倉はため息をつきながら俺を見下ろす。 「・・・・生徒会室」 「はぁ?」 「呼び出しですよ。行っても行かなくても八方塞がりですよ」 「あー・・・、頑張れよ」  所詮他人事。 「俺が生きて戻らなかったら、俺の屍を拾ってくれ」 「おー、焼却炉にくべてやるわ」 「ひどいっ」  慰めの一言もくれない佐倉に背を向け、俺はまた生徒会室に足を向けた。 「伸一、後で報告しろ」  俺の背後で佐倉が言った。  俺は振り向かずに「おー」とまた力なく右手をあげ、そのまま歩き出す。  今まで佐倉からずっと「お前」でしか呼ばれていなかったが、今「伸一」と名前で呼ばれた。  親密度がレベル3に上がった。
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