第2章

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・・・・・・・・  生徒会室というには仰々しい扉を前に、俺はそれ以上踏み込むのをためらった。もとより入りたくないのに、この扉をみただけで更に気分も盛り下がる。  しかし、どっちにしても進退極まっている俺には、この先に行かなかったとしても待ち受けているものは対して変わらない。それならば、進んだ先に何があるのかも一応確認したほうがいい。  俺は扉の横にある、どうみてもテレビモニタ付インターフォンのボタンを押した。恐らく扉には鍵がかかっているだろう。 『はい』  インターフォンから北村の声が聞こえる。 『高野ですけど』  俺の名乗りに対する返答はなく、少しして扉が開いた。 「どうぞ」  北村は俺を招きいれる。 「そのへんに座ってくれ」  部屋に入ってすぐ革張りの白いソファに案内された。  部屋は20帖程ありそうな広いワンフロア。入口近くに応接用の白いソファがガラステーブルを挟み2つ相対している。  ソファがあるところをパーティションで仕切りを作り、その向こうには少し高そうな書斎机が5台。事務テーブルとおしゃれな椅子。一番奥の壁に給湯コーナーと書類棚が配置されている。書斎机にはノートパソコンがそれぞれ用意されており、仕事をする為の部屋の仕様に少し驚く。  今までの寮の雰囲気や校内の無駄な備品を見てきただけに、普通の部屋の光景が殺風景に感じられた。  あぁ、本来ならこっちの部屋のほうが落ち着くのに、たった数日、ごちゃごちゃした装飾を施された部屋をたくさんみてきた為に逆に違和感を感じてしまうなんて。
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