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「あら、伸一大げさね」
「母親、もっと心配しろ」
「ふらんす?」
年が離れた妹、弟はイマイチ意味がわかっていないようだった。
「とにかく俺は絶対フランスなんて行きたくないね」
「そんな父さんを困らせないでくれ」
「俺を困らせんな!」
この攻防は1週間続き、とうとう折れた健が出した条件がこの学校だった。
「しょうがない、そこまで言うなら伸一だけ日本に残りなさい。ただし、条件がある。お父さんが通っていた学校に通うんだ。全寮制だし、お父さんの知り合いもいて、安心だ」
「マジ?」
日本に残れるという思いと、思春期にありがちなちょっと親と離れて暮らしてみたいという願望がこのとき何の疑問も持たせなかった。
「いいところだぞ」
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