第2章

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「ずっと立ったままでいるのか?」  案に早く座れと言わんばかりに北村は俺に視線を向ける。  確かにただつっ立っているのも変なので、言われた通りソファに座った。 「何か飲むか?」 「コーラ」 「そうか、ブラックのコーヒーだな」 「すいません、お茶にしてください」  無いなら無いって言えよ。ブラックのコーヒーなんて飲まねーわ。  この学校の雰囲気からよく分からん名前の茶葉の紅茶を出されるかと思ったが、北村は緑茶をだしてきた。しかも、茶菓子付。意外。 「話したい事ってなんですか」  俺はマスクを顎にひっかけ、入れてもらったお茶を音をたてながらすすった。  お茶の違いなんぞわからんが、今まで飲んできたお茶と違う事はわかる。苦味だけ先走る安物のお茶とは違い、香り、苦味、柔らかな甘味が絶妙なバランスで成り立っている。 「・・・マスクで顔を隠していたわけじゃないんだな」  俺が普通にマスクから顔を出し、お茶を飲んでいるのをみて北村は確認してきた。 「マスクは本来顔を隠す為のものではありませんよ」  こいつも俺が顔を隠していたと思っているのか。
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