第一節 ~蒼に降る雪~

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―殺風景な部屋― 〈プルルルル……プルルルル……〉 耳元で聞きなれた着信音が鳴っている。 寝惚けながらも、手探りで携帯を掴む男。 ──この部屋の住人である零王(レオ)、21歳である。 ディスプレイを見ると、そこには『円叶』と表示されている。 その日は雪の降る朝で、とても寒かった。 当然、ベッドから出れるわけもなく…… 布団の中で丸くなりながら電話に出る。 「……もし? どーした?……」 寝起きのせいか、声がよく出ない。 『ごめんね? 寝てたよね……』 ──電話の相手は円叶(マドカ)、20歳。 もう3年付き合ってるレオの彼女である。
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