プラドレッドは太陽の香り

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(私から、先生に……) この一瞬だけでも、そう思うのは許されるだろうか。 生徒として、感謝を伝えるためのカンパニュラは渡せなかった。 けれど、もし愛しい人として久慈に花を渡せるのならば、これを捧げたい。 (先生……) 「きれいですね」 持ち重りのする花束を受け取った久慈が、目を細めた。 「はい」 (さよなら、先生……) 店員としての挨拶だけを交わし、花は久慈を見送った。   *
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