プラドレッドは太陽の香り

185/193
1666人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
「先生……」 (私が、先生に贈る花束) 花はすっと息を吸い込み、痺れた手を動かし始めた。 (私が、先生に……) 久慈はじっと花を見ている。 レンズが外れた、プラドレッドの向日葵のような、赤みがかあった褐色の瞳から、光が降り注ぐようだ。 花は、大ぶりの花束を整え、久慈に差し出した。 「……こちらでいかがですか?」 久慈がじっと花束を見下ろした。 「ええ。いただきます」 葉をむしって、茎を切り揃え、スポンジを巻きつける。 アルミニウムでそれを覆って、輪ゴムで留める。 もう一度バランスを確かめて、ラッピングペーパーでぐるりと覆う。 シールで端を留め、リボンを掛ければ完成だ。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!