プラドレッドは太陽の香り

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好きだと言っても、無かったことにされた。 ずっと、嫌われていたものだと思っていた。 「君は、誰を思ってこの花束を作ったのですか?」 もう、隠せなかった。 花の瞳から、大粒の涙が崩れ落ちた。 夜露のように、花びらの上で光る。 「……先生ッ……」 久慈以外、いなかった。 花には最初から、久慈しかいなかったのだ。 「久慈先生です……」 先生に渡したかった。 受け取ってもらいたかった。 無かったことにされるんじゃなくて、認めてもらいたかった。 久慈先生を好きな三崎花がここにいると、知って欲しかった。
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