1685人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生……」
感謝だけじゃ、足りない。
生徒としてだけじゃ、足りない。
先生を好きな一人の人間として、自分がいることを覚えていて欲しかった。
「ありがとう」
必死で見上げた潤む視界を覆いつくすように、久慈の微笑が広がった。
「あなたと同じ想いを返しますよ」
花の胸元に、満開の向日葵が咲き誇った。
久慈の瞳に見た、プラドレッドの向日葵を思い出した花が作った、オレンジイエローの真夏の花束。
神に恋焦がれた乙女の姿という神話もある、燦然と輝く太陽花。
それに花は、自分を重ねた。
花言葉は……あなただけを見つめています。
最初のコメントを投稿しよう!