プラドレッドは太陽の香り

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「先生……」 感謝だけじゃ、足りない。 生徒としてだけじゃ、足りない。 先生を好きな一人の人間として、自分がいることを覚えていて欲しかった。 「ありがとう」 必死で見上げた潤む視界を覆いつくすように、久慈の微笑が広がった。 「あなたと同じ想いを返しますよ」 花の胸元に、満開の向日葵が咲き誇った。 久慈の瞳に見た、プラドレッドの向日葵を思い出した花が作った、オレンジイエローの真夏の花束。 神に恋焦がれた乙女の姿という神話もある、燦然と輝く太陽花。 それに花は、自分を重ねた。 花言葉は……あなただけを見つめています。
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