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幼い頃から花が好きだった。
道端のタンポポを手折っては、白いとろりとした蜜を手に這わせ、ツツジを摘んではガクを外して蜜を啜った。
「……でありますから、花は生殖器官に過ぎないわけです」
それが、どうしたことだろう。
花は植物の器官の一つであり、単なる生殖器官だと言い切った、髪はボサボサ、シャツにはこれでもかと皺の寄った男に、釘付けになった。
「では、この花ですが……」
男の手が、教壇の上の鉢植えを持った。
ピンク色のデイジーだ。
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