プラドレッドは太陽の香り

2/193
前へ
/193ページ
次へ
幼い頃から花が好きだった。 道端のタンポポを手折っては、白いとろりとした蜜を手に這わせ、ツツジを摘んではガクを外して蜜を啜った。 「……でありますから、花は生殖器官に過ぎないわけです」 それが、どうしたことだろう。 花は植物の器官の一つであり、単なる生殖器官だと言い切った、髪はボサボサ、シャツにはこれでもかと皺の寄った男に、釘付けになった。 「では、この花ですが……」 男の手が、教壇の上の鉢植えを持った。 ピンク色のデイジーだ。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1685人が本棚に入れています
本棚に追加