プラドレッドは太陽の香り

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途端に、腕が触れそうなほどの距離を意識する。 また、汗でもかいてしまったのだろうか。 「……ボディクリームかな」 香澄からもらった、自分では買わないような質の良い物を、出かける前に付けた。 ふくよかだが、どこか爽やかな花の香りだった。 久慈が花の長い髪をかき上げ、白い首筋を露にする。 「せんせ……」 久慈の鼻先が、首元の上を這う。 触れはしなかったが、花はその気配だけでびっしょりと汗ばんでしまう。 「臭いですか?」 ほとんど泣きそうな中、声を振り絞る。 また、臭いとでも言われたら、今度こそ立ち直れそうにない。 「……いいえ」 その瞬間、久慈の鼻が、花の首筋にぶつかった。 トンッという軽い衝撃に、花は眩暈を起こしそうだ。
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