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宴もたけなわ、会場がだらけた雰囲気になってきたところで、新郎に水谷君からお礼の挨拶がありお開きになった。
会場で使われたお花を貰っていこうかなぁと思ったのだけれども、今日はこのまま課長の家に泊まりに来いとけっこう強引に誘われていたのだったなと課長を見た。
「何だよ?」
「お花、頂いていきませんか?」
ほらね、あの顔。
明らかにいらねーって思ってる。
確かに、男性はあまりお花のお持ち帰りの列に並んでないけど……
係長が迷ってるじゃん。
奥様に持って帰ればいいじゃん。
「係長、いただいて帰りましょうよ。奥様、喜ぶんじゃないですか?」
「ははっ、うん、女性ばかりが包んでもらってるからちょっと並びにくいなって思っていたところなんだ。」
私と係長が歩き出した後ろから、またしても後頭部に突き刺さる視線。
そして、私と係長の間に両手を入れて割り込んでくる課長。
「二人とも水臭いなー。同じ3課で働いてるんだから、俺のことも誘ってくれよ。」
さっき、いらねーって顔したくせに。
「課長にお花を愛でる趣味があったなんて風流ですね。」
嫌味のつもりで言ったのに
「マロは風流でおじゃる。」
と返って来て係長が笑っている。
「後から花瓶を買いに行かないとな。」
「そういうの、いらないかもしれないですよ。オアシスに突き刺して、そのままテーブルに飾れるようにアレンジした物がいただける場合もありますから。」
「先にそれを言えよ、バカモノ。花瓶に花を生ける自分の姿を想像して軽く悶えただろ。」
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