プロローグ

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 10月末 土曜日 名古屋市内某所のホテルで同僚の斉藤と先輩の杉山さんの結婚式と披露宴が滞りなく、厳粛かつ和やかな雰囲気で執り行われた。 そして、そのまま時間をつぶしてからの二次会。 同じテーブルに座った松本夫婦・水谷・安田・みゅー。 いつかのオバサン会の言葉は本当だったようで、招待されたわけだ。 キレイだったを連発する普段とは違ってドレスアップしたみゅーばかりを見るわけにもいかないのが残念でたまらなかった。 一応、会社に内緒の社内恋愛を続行中だ。 そして、俺と水谷にはここで重要な役目が待っている。 いわゆるサプライズだ。 実は、この二次会の乾杯の音頭は俺がやることになっていると思わせてあるけれども、本当はみゅーだ。 斉藤と杉山さんが、みゅーのおかげで結婚することになったのだから、披露宴で祝辞をもらいたいとみゅーに頼んだけれども、みゅーが 「無理無理無理無理無理無理無理無理!!!絶対に無理ですっ!!!課長、課長の役目ですってばっ!!!」 と、両手をこれでもかというくらいに振りまくって固辞したために、その役目は流れて、普通に祝辞は1課の課長がやった。 そこで、二次会の乾杯の音頭をとなったのだが、そのままみゅーに頼んだらやってくれないことは目に見えてる。 だから、俺がするということに表向きなっているけれども、もうすぐ始まる二次会で乾杯の挨拶をさせられるのはみゅーだ。 俺と水谷は嫌がるみゅーを同じ3課のよしみでマイクまで連行するという重大かつ楽しい役目を貰っている。 でも、いきなりぶっつけ本番も可哀相だと思う俺の親心、いや恋人心によって先週泊まりに来たときに乾杯の挨拶をみゅーに調べさせてその原稿も作らせたから多分、みゅーの頭の中に乾杯の挨拶の定型文は残っているはずだ。 昨日の夜も、一応、みゅーの作ってくれた原稿を俺が暗記しているかどうか駅のベンチで練習するのに付き合わせた。 もちろん、みゅーの頭の中に乾杯の挨拶を残すために。 自分で言うのも変だけど、俺ってかなりデキた彼氏だ。
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