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「お二人の晴れの門出をお祝いいたしまして
皆様と共に祝杯をあげたいと思います。
本日の記念すべき乾杯の御発声は
新郎新婦の勤務先の後輩で
お二人を結びつけた恋のキューピッドであります
新藤美由紀さんに新郎新婦たっての願いで
お願いしたいと思います。」
斉藤の友人の司会者が言った言葉を聞いていなかったらしいみゅーが俺を見てくる。
「課長、早く行かないとダメじゃないですか。」
「ぶはっ、新藤さん、今、新郎新婦のたっての願いで恋のキューピッドの新藤さんにお願いしますって言ってたじゃないですか。」
水谷のフォローに
???
と分かってない顔をするみゅー。
「サプライズでしたので、驚かれているご様子ですね、新藤さん、こちらにどうぞ。」
スポットライトが当てられ、ビビるみゅーに追い打ちをかける司会者。
「ちょっ、課長、無理ですってば。課長がやって下さいよ。無理無理無理無理。」
両手を顔の前で高速で振って腰が引けてるみゅー。
仕方がない。
作戦通りにするしかないみたいだな。
「水谷、燃料を補給させろ。」
「アイアイサー。」
水谷が冷酒のグラスを無理やりみゅーの口元に運び、飲ませる。
「ブホッ。ゲホゲホ。痴れ者がっ、余に謀反を企てるとは、ここは戦乱、下克上の世の中かっ。」
「ぶはっ、燃料バッチリ。ハイオク満タン入りましたー。」
水谷の声を聞いて、俺と水谷がみゅーの隣に立ち、みゅーの両腕を両側から拘束。
そして、前方のマイクまで強制連行。
すでに、さっきまでのやり取りを見ていた会社のやつらからは、爆笑を取った。
あとは、みゅーがマイクの前で俺のために書いた原稿の通りに挨拶をすれば、滞りなくミッション終了だ。
原稿通りにまともな挨拶をすることは期待してないけど。
できれば、もっと面白いのを期待するだろ。
だって、俺の可愛いみゅーだしな。
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