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胸元に違和感を感じてそうっと目を開けた。 夜明け前の薄暗い室内。 静かな空間に響く、遠くでカチッカチッと音をたてる時計の秒針と近くで感じる生温い息遣い。 自分以外の生き物の生温かさ。 不気味な黒い影。 恐怖で指先と背筋がピクリとした。 左胸あたりだけに、ねっちょりとした感覚。 薄気味悪いヌメリとした感覚に再び襲われ、声をあげた。 「ギャーーーーーーー!!!」 私の左胸のあたりにあった生温かく不気味な黒いモノが動いた。 「おう、蘇ったか。俺の心臓マッサージのおかげだな。」 どこかで聞いたことのある声。 良く知っている人の声だ。 「か、か、課長って言うか、心臓マッサージって、へっ?」 思わず、自分の体を自分の手でまさぐって声をあげた。 「ギャーーーーーーー!!!」 そして、口元を課長の大きな手で覆われた。 「黙れ、バカタレ。近所迷惑だろ。」 な、な、何で!? ど、ど、ど、どうして!? く、く、く、く、苦しい。 酸素がだんだん薄くなっていく。 頭の中がうすぼんやりとしていく中で今の状況の答えが見えた。 あぁ、きっと夢だ。 夢に違いない。 そうでなければ、下界で酸素不足に陥るわけがないはずだ。 それまで暴れていた手足の力がスゥッと抜けて、夢の中で天国へと旅立とうとしたところで空気が猛烈な勢いで体内に入ってきた。 「わりーわりー、ついつい口と鼻を同時に塞いじまったみたいだな。」 オーマイガー。 「殺す気ですか!!!死ぬじゃないですか!!!って言うか、何で私は裸で課長と布団の中にいるんですか!!!」 「つーか、それはこっちのセリフだろ?何で裸で愛し合う男女が一夜を共にしたのに何もしてないんだよ。俺様の我慢強さに感謝しろって。よって、今から犯す。」 「ギャーーーーーー。」 課長の危険な言葉を聞いて、掛布団ごと回転して逃げた。 「あっ、バカタレ。クララが寒がるだろ。」 オーマイガー。
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