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水谷君の学生時代の友人の司会によって、和やかな雰囲気の中始まった1、5次会。
形式ばったものにしたくないという水谷君と安田さんの気持ちが現れていて、さくっと乾杯したら次々とお料理が運ばれてきた。
自分ではこういうお肉の塊を食べには行かないよねっていうような上質のステーキに舌鼓をし、水谷君の肩を叩きながら幸せそうに笑う安田さんを遠くに眺め、この場の幸せな雰囲気に酔いしれる。
そして、誰も聞いていないだろうガヤガヤとした中で、課長が二人に祝辞を述べるらしい。
知らなかった。
聞いてないよ~。
水谷君と安田さんだけが嬉しそうに課長の話を聞くのかと思いきや、会社関係の人は課長という人を知っているからか静かになってしまい、それが波紋のように広がってご友人たちも口を噤んだ。
通り一遍の挨拶の定型文で始まった課長の祝辞だったのだけれども
「ここで3つの袋とか3つの坂とかって話をしても面白くないんで4つ目の袋について語ろうかとも思ったけれども、それも卑猥な話なんでふさわしくないと思い自重します。」
なんて言いだして冷や冷やした。
4つ目の袋で卑猥の単語から導き出されるこたえは……タマ……みなまで言うはずがないけれども、私と同じ思考をしてしまった人達がほんのりと笑っている様子を見て、私ひとりが課長に毒されて変態思考になっているわけじゃないと知り安心感を得た。
「二人は僕の同期の安田さんと僕の部下の水谷君で」
『僕』!!!
俺様なのに!?
男気なのに!?
危うく、普通の地の文の部分で盛大に吹きそうになった。
ヤバイヤバイ。
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