台所

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正直、少し前から俺も嵐と同じ事を考えていた。 彗に異常なまでの愛情を感じている人物がこの建物を作った。 その人物はここに彗が来ることを想定し、入口のドアが勝手に閉まるように細工していたんじゃないか? そこまで考えると、俺はすぐに船の運転手さんの顔を思い出していた。 面長で少したれ目のあの人。 この島へ向かおうと言ったのはあの人だった。 本当はエンジントラブルなどなく、最初からこの島に彗を上陸させることが目的だったんじゃないか? そしてこの建物に閉じ込め、自分だけのものにしておく……。 だけど、俺はすぐにその考えを打ち消した。 そもそも、この建物を作るだけで随分とお金がかかるはずだ。 船の運転手にそれほどの給料が支払われているとは考えにくい。
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