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「そうだ、スマホ!!」
百合が思い出したようにそう声を上げた。
「そうだ! みんな電話を持っているじゃないか!」
百合の言葉をきっかけにして、みんなが一斉にスマホを取り出す。
しかし……。
みんなの明るい表情は一瞬にして暗い物へと変わっていった。
俺も、それは同じだ。
スマホの電波がないのだ。
場所を移動してみても、天井へ向けてスマホを突き出してみても。
どこにも電波が見つからない。
まるでこの建物自体が電波を通さないように作られているように感じる。
「これじゃ外とも連絡が取れない……」
彗が呟き、スマホを床に落とした。
いつも大切に持っていた宝物が、急にただのオモチャになった瞬間だった。
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