第1章

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その日、俺は友人からの電話で起こされた。 「なんだよ…どうした。」 友人の拓也は、どうしたじゃねえよ!と何か急いでいるようだった。 時刻はまだ昼前の10時半であるにもかかわらず、いい気持ちで寝ている俺を起こすのだからよほどのことなのであろう。 「で?結局なんなんだ?そんなに急いで。」 「今日発売のハンターVSモンスターを一緒に買いに行く予定だったろ!?」 ハンターVSモンスターとは、ワンスクリーンポータブル、通称OSPで販売される新しいゲームである。 そういえば、昨日そんな約束をした覚えがある。 「そうだったな。でもこんなに早く行かなくてもいいんじゃないか?」 俺がそう言うと友人は間髪入れずに、だめにきまってるだろ!と大声をあげた。 友人によると、開店前から並ばないと手に入らないようないわゆる、超人気作品らしい。 俺はそういった情報に疎く、逆に拓也はそういった情報に強い。 「とりあえずお前も早いとこ準備しろ!11時半までだ!」 拓也はそういって電話を切った。 なにがあいつをそこまで駆り立てるのだか、俺には全くわからん。 自己紹介が遅れたが。 俺の名前は桜井 春樹。 名前に桜と春の文字が入っていることから友人らには「名前だけ春っぽいなお前。」と、よく馬鹿にされる。 年は今年で18歳になる。 まあごく普通の高校三年生だ。
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