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――真夜中。
空のスーツケースを引き摺って帰宅途中に、
不思議な光景を見た。
外灯が一つだけ立っている、
薄暗い公園の砂場で、
幼女が砂遊びをしていたのだ。
黄色い帽子、
白いブラウス、
赤いスカート。
何故か妙にはっきりとその色が浮かんで見える。
幼女は一心不乱に砂場を掘り返していた。
……こんな時間に、何故?親は?
そんなことを思いつつ、その場を通り過ぎる。
……きっと近くに親がいるのだろう。
こんな時間にあんなところで、
幼女を遊ばせていることについては
常識を疑うが、
各家庭それぞれの理由があるというもだ。
かくいう俺も、
自分の家庭の事情でくたくたになっていた。
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