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暗闇の中を急速に光が小さくなっていき、落下感に覆い尽くされる。
届くはずもないのは頭の中で理解しているのにもかかわらず頭上に手を伸ばす。
はぁ……死んだなこれ。
いきなりよくわからない紋章が足元に出てきたと思ったらこれだよ。
どんどん落ちてるし。
聖 (ひじり) ユウトは意識が遠くなりながらもそのとき願った。
もしこれが異世界転生なら─────────大切な人を助けれる力が欲しい。
走馬灯のように紋章前の出来事を思い出していた。
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金曜日。それは多くの人からしたら休日を前日に控えたことにより少しだけ気分が良い日だ。
土日をきっと大勢の人が楽しみにしているのだろう。
それは俺──────────聖ユウトも同じだった。
「明日はカラオケ行こっ!流星くん」
「えー、流星くんは私とショッピングなんだからー」
「いや、流星はバスケ部のスケットの約束があってだな」
教室の窓側の席は天空 流星(てんくう りゅうせい)とその一味によって今日も占拠されていた。
俺はそんな光景を興味なさそうに見ている。
天空流星は誰もが振り向くようなイケメンで頭も良く、運動神経がいい。
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