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「俺、本当にミズキさんに会えて良かったと思います」
ミズキさんは驚いた顔をした。
「俺……実は自分は無能と思っていました。同じく召喚された奴らとは違い……戦う力も無い。誰かを守れる力も無い。召喚された奴らに馬鹿にされて……悔しくて」
俺は何を言っているんだろうか。言葉が口から溢れ出てくるかのようだ。
「でも、ミズキさんに会って救われたんだと思います」
ハハッと笑って、恥ずかしくて誤魔化す俺にミズキさんは何も言わずに頷いてくれる。
そんな優しさに心を惹かれている自分が居た。
「私も実は攻撃手段のない役立たずなんて言われてパーティから外されてしまって……それで一人でも受けられるこのクエスト受けたんです」
最初からミズキさんを信頼できたのは同じような境遇だったからかもしれない。
バチバチっと焼かれる音が響く中で俺は言う。
「ミズキさんは役立たずなんかじゃありませんよ。人を守れる力がある。素晴らしいことです。そのパーティがゴミなだけです!」
そう……人を守れる力。俺には無い力だ。
ミズキさんにはそれがある。
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