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「その言葉を聞けて光栄に存じます。この村を救ってくれたのはユウト様とミズキ様。このご恩は死ぬまで胸にしまっておきます」
村長……。あんたは本当に村長だったんだな。感動しちまった。
村で過ごした時間は僅かなはずなのに別れを告げるのがこんなに悲しい物だったなんて。
だけど別れの挨拶は必要だよな。
「もし……死にそうになったら暇だったら治してやるからなー」
最後はツンデレ気味になっているのは別れの辛さを隠すためだ。
俺とミズキさんは村人が総出で見送る中、王国に帰る馬車に乗り込んだのであった。
「うぷぅ………気持ち悪いです」
馬車に乗り込んで数分もしないうちにミズキさんが顔を真っ青にして口元を押さえ出した。
相変わらず揺れる馬車である。
俺はミズキさんに女神の回復を放った。みるみると表情が良くなっていく。
俺の回復能力は流石としか言いようがない。回復能力で役に立てない俺なんてゴミだ。
俺の力で人を救えるのは確かに嬉しいし……。
「ありがとうございます。それでクエストは無事終了した訳なんですが……今後ユウトくんはどうするつもりですか」
馬車の荷台が揺れる音が響く空間にもかかわらずミズキさんの声は真っ直ぐ耳に届いた。
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