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「だから……!もしよければなんですけど……」
俺は瞬間的にミズキさんが伝えたい事を理解した。俺もまだミズキさんと一緒に行動を共にしたいと思っていた所だ。
ミズキさんと居れば……悪い事はない。損得感情で言えば得しかしないという事だ。
ミズキさんは俺なんかと比べればすごく強い。それにこの世界の知識もある。
正直、人として好きだ。
それ以上の理由が必要か?
自分に問いかける。しかしミズキさんの事が好きで充分らしい。
女性にパーティに誘われるより、男が誘うべきなんだと思う。
「ミズキさん……俺とパーティを組んで頂けませんか!」
何を言ってるのこの人と、でも思っている表情のミズキさん。
あれ、もしかして俺の勘違い?だとしたらすげぇ恥ずかしい。
ミズキさんはクールとはまた違う可愛らしい笑みを浮かべた。
「こちらこそよろしくお願いします!」
細くてシミや傷一つない綺麗手を差し出すミズキさん。俺はそんな手を優しく握った。
この世界に来てからの初めての仲間が出来た。
クラスメイトではない。
攻撃力がないとミズキさんは謙遜するが俺よりは充分強い。
何より最強の盾。
誰かを守りたい騎士と誰かを救う回復能力を持つ最弱の僧侶がついにパーティを組む。
これがこの国の歴史を変える一つの軌跡になることを今は誰も知る由も無い。
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