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馬車に乗って王国に向かうこと数刻した頃だ。
俺とミズキさんが乗っている馬車が野盗と思われる格好をした集団に囲まれてしまった。
そして今、野盗の頭である大男と回復能力しか使えない俺が一対一の決闘をしている。
「何だその剣は!切れ味もないボンクラじゃねーか!」
俺は自分より一回りでかい大男と剣と剣でつばぜり合いをしていた。
俺の剣は聖剣デュランダルに対して大男はただの剣。
しかし……俺は押されていた。
何度も足を踏み込んで、めいっぱい力を込めるが大男の表情は変わらない。
聖剣デュランダルだぞ……。
なんで普通の市販されているような剣に劣るんだよ!
俺の力が足りないと同時に聖剣の力を使いきれてない。
「ユウトくん……」
ミズキさんが俺と大男の死闘を心配そうな目で見つめていた。
ミズキさんの離れた場所には大男の仲間である賊が待機している。
これは一対一の決闘という名の殺し合い。
絶対に負けるわけにはいかねぇんだ!
「ヘッ!女に守られて……心配されて男として悔しくないのかねぇー」
悔しいに決まってる。
馬車を賊に囲まれて……ミズキさんはたった一人で守っていた。
俺は悔しかった。自分を変えたいと思ったから賊の頭であるあんたと決闘を挑んだんだ。
「クソッ!」
俺はつばぜり合いをどうにか躱して、デュランダルを何度も賊の頭である大男に振り込む。
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