片端の花嫁

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 中には一枚の手紙と小さな箱。机上の灯りを引き寄せようと腕を伸ばした拍子に箱の蓋が開いてしまう。手元をすり抜けて何かが落ち、その残響音が部屋中に広がった。  指環?  かなり古ぼけている。ヴィンテージ……いや、アンティークかもしれない。宝石は付いておらず、そこには何らかの飾りが彫られているようだ。  手紙には簡素な次の一文のみ。 『パーシヴァント・オブ・アームズの貴方であればと思い、お送りしました』  送り返すべきだろう。僕の手に負えるものではなかった。
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