secret

◇4◇

「……姫花」
「なに？」
「この生活を続けたいなら隙を見せるんじゃねぇーぞ」
「……隙？」
「忘れるな。親父さんも蓮さんもお前がどこの馬の骨かも分からない男に襲われるためにこの生活を許した訳じゃねぇーぞ」
「……馬の骨って……」
「大体、お前が望んだ生活ってそんなものなのか？」
「……違う!!」
「それなら、男の前で隙を見せてんじゃねぇ」
「……」
「分かったか？」
「……」
「姫花」
「……」
「……親父さんと蓮さんに報告するぞ」
「分かりました!!」
完全シカトから一転、従順な兵士のように敬礼をした私に
「……本当に分かってんのかよ」
朝緋は呆れたように盛大な溜息を零した。
「大丈夫。全然、分かってるから」
「大丈夫の意味が全然分からねぇーし、全然の使い方が完璧に間違ってる」
「そ……それは……」
的確な指摘に私は言葉を詰まらせる。
「まぁ、いい。本当に分かったんなら言葉じゃなくて態度で示せよ」
「う……うん」