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◆◆◆◆◆ 6月に入り 灰色の思い雲が空に広がる日が多くなった。 思い返してみると今週はずっと雨だったような気がする。 降り続く雨は空だけじゃなくて気分まで重くしていくような気がする。 窓から灰色の空を眺めているとチャイムと同時に担任が入ってきて、クラスメイト達が蜘蛛の子を散らす様に自分の席へと戻っていく。 このクラスの担任は副嶋 晃【そえじま あきら】 通称“ソエちゃん” 30代に突入したばかりらしいソエちゃんはお兄さん的存在の教師で生徒達からも人気がある。 去年、結婚し来年の初めには子供が生まれるらしくいつも幸せそうな雰囲気を漂わせている。 教壇に立ったソエちゃんが手に持っていて出席簿を置き、小さく咳払いをする。 「連絡事項を伝える前に今日は転入生を紹介する」 担任の言葉にクラスメイト達がざわつき始める。 「入りなさい」 ドアに向ってソエちゃんが声を掛けると 待ち構えていた様にドアが開く。 1人の男子が教室内に入ってきた途端、今までざわついていた教室内が水を打ったように静まり返った。
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