第4話 カタメの世界 3

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杉田が振り返ると、フードを取った男が立っていた。 数日前、薄暗い店に居たボーイだと気付くと同時に、周りから悲鳴が上がる。 「悪いけど、俺だけ行くわ。お前ら、後悔せえ」 そう叫び声が響き、白く光る刃が、首に当てられたとき。 大きな塊が、杉田の横を通った。 先に、包丁が音を立て床に落ち、男が仰向けに倒れた。 田淵の巨漢に乗られ、両腕を抑えられた男は、苦しそうに顔を歪めている。 「ああ見えて、田淵さんて、全国大会でいい成績残してんのよ」 杉田の隣に立ち、大きく肩を上下する山上が言った。 「寝技神のぶっさんってね~、山上君、手錠かけて~」 男を押さえたまま、田淵が言う。 ふたりとも息を切らしていたが、笑顔だった。
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