第4話 カタメの世界 3

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この一週間、杉田、山上、田淵の三人は、七人の被害者の身辺の洗い。 リリコと柳下は、要星の居場所を追っていた。 杉田たち男でも、柳下の下で動くのは辛いが、リリコは、顔色を変えず昼夜一緒に過ごしている。 ……柳下さんもやけど、……大丈夫なんやろか。 そう思ったが、杉田は聞けず、手を動かした。 「杉田さん、もう具がありません」 気が付くと、ボウルの餡が無くなっていた。 綺麗に並んだ形の良い餃子の横、ふたつの歪な形が寄り添っている。 「杉田さんて、器用ですよね。羨ましい」 杉田が返す前に、松波が戻ってきた。 「梅林寺さん、戻りましょう。神戸空港で、幹部のひとり確保です」
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