第4話 カタメの世界 3

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スーパーに寄ってから、リリコの家に着き、料理をふたりでしている。 ここに居ると、解決が見えない現実が、少し遠く感じられた。 「単純作業って、こういう時、楽しいよね」 そう言った松波の顔を見ると、久々に緩んだ表情を浮かべている。 監理官という立場で、みっつの係を束ね、兵庫県警と合同捜査をしているのだ。 自分よりも、消耗しているだろうと杉田は思った。 「出口さんの件、大変だったね」 「いえ」と答え、杉田は、顔を曇らす。 『アウト(笑)』は、もうどこにも居ない。 出口は、連日続く取り調べに、白い顔をして黙秘を続けている。
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