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10で聞こえた声に、景色が見えた。
目の前に、立派な噴水。
重さを手放す。
弧を描き、ばしゃりと大きく音を立て、キャリーバッグが水に沈む。
「……みんな!! 伏せて!!」
周りの人間が、とまどいながらも言われた通りにする。
『……杉田さん、もう大丈夫です』
しばらくして聞こえてきた声に、瞼を開けた。
閉じる前と、景色は何も変わっていない。
杉田は、両膝を床につけた。
『……『ムータン』にならなくて、良かった』
聞こえた声は、小さく、震えていた。
本当に、想ってくれている。
そう思った時、大きな声が聞こえた。
「お前ら、警察はあほや!! これで、みんな、楽園に行けんくなった!!」
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