第4話 カタメの世界 3

34/36
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
10で聞こえた声に、景色が見えた。 目の前に、立派な噴水。 重さを手放す。 弧を描き、ばしゃりと大きく音を立て、キャリーバッグが水に沈む。 「……みんな!! 伏せて!!」 周りの人間が、とまどいながらも言われた通りにする。 『……杉田さん、もう大丈夫です』 しばらくして聞こえてきた声に、瞼を開けた。 閉じる前と、景色は何も変わっていない。 杉田は、両膝を床につけた。 『……『ムータン』にならなくて、良かった』 聞こえた声は、小さく、震えていた。 本当に、想ってくれている。 そう思った時、大きな声が聞こえた。 「お前ら、警察はあほや!! これで、みんな、楽園に行けんくなった!!」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!