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体の力が抜け、杉田は、顔が緩むのを感じた。
『杉田!! ようやった!! お前、京都人やけど、根性あるわ!!』
イヤホンからの大きな声に、耳が痛くなる。
『すみません。柳下さんが、勝手に』
「いえ」と言いながら、杉田は顔を下に向け、必至で我慢した。
喉の奥が痛く、両目から、すぐにでも零れそうだった。
「……これで、解決しましたよね」
気付けば、辺りに、捜査員たちが集っていた。
山上が手錠をかけた男を囲み、噴水から遠ざける為、周りの人間を誘導していく。
その様子を見ていると、声がやっと返ってきた。
『私も、杉田さんの様に頑張って来ます。預けたものの処分、よろしくお願いします』
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