第4話 カタメの世界 3

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倉庫から、府警で目を覚ました『クマグロ水産』の社長。 取り調べが始まり、窓のトリックを、とても楽しそうに語った。 遺体を吊るした窓に、特殊な液を塗装し、氷を張る。 タイマーをセットした冷房をつけて、部屋を出る。 外からの温度を考慮した計算どおり、氷の目隠しは緩やかに溶け、隙間から外に流れ出る。 楽しそうに語る姿を思い出し、杉田は、背中に冷たさを感じた。 「梅林寺さん、よく気付いたよね」 松波の言葉に、ふたりで、会社を訪れた時の事を思い返す。 窓に残る液を拭きとり、つたって落ちただろう壁を確認していたのだ。
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