2871人が本棚に入れています
本棚に追加
そして何よりも。
剣持が冴子のために社長を退陣する覚悟を知った今、同じ思いを貫いた男として。
せめて剣持の最後を見届けてから、俺も新たな道へと歩み出したい。
それが男としてのけじめというものだ。
葉月を胸の中に包みこみながら、思った。
……今はまだ……これ以上の関係に進んではいけない。
俺はまだ、葉月を抱く事は出来ない。
それでも彼女を極力傷つけないために、俺が選んだのはこの言葉だった。
「だけどね、葉月ちゃん。アタシはオネエなの。
だから葉月ちゃんをこれ以上アタシのくだらない人生に巻き込む訳には行かないのよ」
「でもっ…私はっ……」
最初のコメントを投稿しよう!