Act.21 Side Ayumu

13/33
前へ
/33ページ
次へ
可愛すぎて腹が立つなんて、俺も相当イカレてんのかもしれないけど。 呆れるほどにこの女に心を丸ごと持ってかれて、悔しくて意地悪な言葉を吐く俺は、まるでガキだ。 「勝手にしなさい。アンタ絶対に不幸になるから」 「不幸って…」 「アタシ、博愛主義よ」 「…知ってる」 「一生オネエよ」 「それは嫌…」 「我儘ねぇ…」 「今更でしょ」 「結婚しないわよ」 「しなくてもいい」 おいおい、しなくていいのかよ。 普通そこ、否定すんだろ。 けれど満足そうに笑う彼女の姿に、どうでもいいかと思った。 そう、きっと彼女もまだそれを望んでなんかいない。 苦しみぬいた人生の傷を完全に乗り越えるまで、このままの二人で笑い合えたらそれでいい。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2870人が本棚に入れています
本棚に追加