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可愛すぎて腹が立つなんて、俺も相当イカレてんのかもしれないけど。
呆れるほどにこの女に心を丸ごと持ってかれて、悔しくて意地悪な言葉を吐く俺は、まるでガキだ。
「勝手にしなさい。アンタ絶対に不幸になるから」
「不幸って…」
「アタシ、博愛主義よ」
「…知ってる」
「一生オネエよ」
「それは嫌…」
「我儘ねぇ…」
「今更でしょ」
「結婚しないわよ」
「しなくてもいい」
おいおい、しなくていいのかよ。
普通そこ、否定すんだろ。
けれど満足そうに笑う彼女の姿に、どうでもいいかと思った。
そう、きっと彼女もまだそれを望んでなんかいない。
苦しみぬいた人生の傷を完全に乗り越えるまで、このままの二人で笑い合えたらそれでいい。
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