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「もうこれからは、ずっと居間にお布団敷かなくていい」
「……ど……どうして?」
「だってあなたはアタシと一緒の時間が何より大切なんでしょう?
だったら一緒に眠る時間だって大切なんじゃないの?」
やんわり笑って俺は掘りごたつから立ち寝室の襖を開ける。
抑え込んだ男の楠田歩の代わりに、湧きあがるのはガキの頃の俺だ。
それに自分で気づきながらも、わざとらしくその場で振り返り口角を緩めて葉月に言った。
「ああ、だけどセックスはしないからご心配なく。
アタシ、オネエの楠田部長だから」
「ぐっ……?」
言葉に詰まった葉月に、高笑いしながら寝室に足を進める自分。
まるで拗ねたガキみたいな発言に失笑するけれど。
明らかに肩を落とした葉月の気配にどこかでホッとするなんて、呆れるほど愚かな自分も確かに俺という人間なのだ。
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