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そう言って笑った翔平がゲストルームを出て、壊れたドアを閉めた。
けれど翔平に言われた通り、今の俺は本当に必死だ。
何度も心で否定して来た葉月への思い。
しかしもうそれを押し隠すことも出来ずに、こんな風にドアを蹴り破ってホストを背負い投げ。
オネエの仮面なんてどこへ捨ててしまったやら。
だが……これがありのままの楠田歩だった。
三島葉月を愛してしまった、呆れるほどに余裕のない、俺。
「あの…部長…」
「……………」
「ご……ごめんなさい」
今にも泣きそうな瞳で謝る葉月の姿に、ようやく冷静さを取戻し慌ててオネエの仮面をつけてみても。
押し隠せない本当の胸の内。
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