第5話 カミサマはいない

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「『カタメ』というインチキな宗教を作り、信者達にした事。今回の事件で、犠牲になった女性達や、傷ついた人達。連日の捜査で、疲弊した刑事達。全て、カナメさんにとって、どうでもいいんですね」 「はい、あの人以外は」 「立派ですね。私は、そこまで、神様につくす事は出来ません。そちらの中身は、本物でしょうか」 カナメの傍にある、布製の黒いキャリーバッグ。 指でさし、リリコが言った。 「中津駅から、新大阪に向かう時の景色が綺麗だそうです」 そう言って、カナメは、上着のポケットから携帯を取り出す。 「私の、死に場所にぴったりだと。こんなに嬉しいプレゼントは、ありません」 「ロマンチックなお話しですが、あの人以外を、舐めすぎましたね。残念ながら、景色は見れませんし、起爆装置は作動しませんよ」
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