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「お疲れ様です。今回のお手柄で、階級、上がっちゃうんじゃないですか」
助手席に座ったリリコに、運転席の松波が言った。
「それは、松波さんですよ。そういう約束でしょう」
松波は笑顔を返し、リリコに水のペットボトルを渡して、車を出した。
まだ日が高い窓の外、地下鉄中津駅が遠くなる。
「やっと、まともな生活出来ますね。今日は、何食べたいですか」
明るい声に、リリコは答えない。
「どうしました。カナメさんの言葉に、傷ついてるんですか」
返ってこないが、松波は続けた。
「同じだと思ってるなら、馬鹿ですよ」
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