第5話 カミサマはいない

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白いシャツに締めた、細く、黒いネクタイを見ていると、聞こえた。 「杉田さんは、右目に眼帯と言っていました」 カナメは、長い足を組んでから答えた。 「普段は、左目にコンタクトを付けています。サングラスに度を入れていますが、夜間は危ないので」 膝の上に組んだ両手の爪は、綺麗に整えられている。 髪の毛は黒く、耳が出るぐらいに、小まめにそろえているのが分かる。 歳は、四十ぐらいだろうが、喋り方も、見た目も、全く隙がない。 「杉田さんが、白蛇の様だと言ってました」 返事はなく、リリコは続けた。 「柔らかさを、私は全く感じません」 「梅林寺さんは、ずい分、柔らかくなったそうです」
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