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リリコの右眉がぴくりと動き、カナメは続けた。
「神戸に帰ってきた時と、今は、別人だと。あの人が、嘆いてましたよ」
「あの人は、鳥居さんが言っていた人と、同じ人物ですか」
「どうして、カオル君を殺さなかったんですか」
返された質問に、リリコは口を閉じる。
「大阪府警に異動された事も、予想外だと、悲しんでいました。これ以上、梅林寺さんを辛い目に合わせたくはないと」
ぴりりと、首の後ろに走った。
リリコが口を動かす前に、カナメは語り出す。
「再び、周りが傷つけば、壊れてしまうかもしれない。それでも、可能性にかけると仰ってました。なのに、私が至らないせいで、意に沿えませんでした」
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