第5話 カミサマはいない

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質問を返すと、カナメは、口を一度閉じてから開いた。 「あの人の、言う通りにしていただけです。それに、彼女達は、この世界で生きるのに苦悩していた。解放され、喜んでいるのでは」 リリコは、口を開きかけ、やめた。 「娘を手なづけ、倉庫にたどり着けたのを、あの人が褒めていましたよ。梅林寺さんを試すために用意した死体が、無駄にならなくて良かったと」 「何の罪もない女性を、七人殺した犯罪者に、評価されたくありません」 「私は、犯罪者ですが、あの人は違います」 「違いません。あの人は、何を考えているんですか」 「あなたを、とても欲しがっています」
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