101人が本棚に入れています
本棚に追加
「それは、どうしてですか」
「梅林寺さん、ここで、私と一緒に死ぬか、あの人のものになるか、新大阪に着くまでに決めて下さい」
「どうして、事件を起こし、私を試す様な真似をするのでしょうか」
「それは、私には分かりません。しかし、あの人の考えは、絶対ですから」
「どうして、そう、言い切れるんですか」
カナメは、両目を深く垂れた顔で言った。
「私を、絶望から救ってくれた、神様と同じ存在だからです。これからどうしていいか分からず、迷っていたところを、手を引いてくれ、正しい道を教えてくれた。法や倫理よりも、あの人の考えが、私にとって唯一なんです」
カナメの言葉に、鳥肌が立っていくのを感じた。
すうっと息を吸ってから、リリコは口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!