第1章

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幻想大陸アルティナ。 この世界では千年も昔から人間と亜人族が戦いを繰り広げていた。 やがてその戦いは魔王という亜人族を束ねる存在の登場により激化、人間は数の優位を失い窮地に立たされる。 そこで発足されたのが勇者教育機関。少数精鋭による対魔王討伐部隊の育成を目的とする、通称『勇教』である。 この物語の主人公『リッグ・ウェインス』は長期に渡る戦争の消耗により、戦争継続が困難となり事実上終戦を迎えた時代に勇教の全課程を修了した。 勇者になるといった目標も適わず、身に付けた技量と愛用の長剣一振り担いで気ままに大陸を旅するリッグの目に映るのは、どこも慢性的な人手不足。 ある時、リッグはひょんなきっかけから自分のような冒険者を支援し、人手を補う方法を思い付く。 困っている人の元に、それに見合った能力を持つ人材の斡旋業。即ち、ギルドの設立である。 勢いで起業したはいいものの、新たな事業に二重にも三重にもなって立ちはだかる困難の連続。 初の仕事料は1クレ(最低通貨)だったり、人間嫌いでドワーフ嫌いの受付を雇用したり、親方がオネェ口調だったり… くせ者揃いの仲間達と慌ただしい毎日を過ごしていくうちにギルドは成長していく。 しかし真の困難は繁栄を迎えた先にあった。 経営と人情の板挟みに苦しみながらも、多くの者の生活を預かる雇用主として、時に残酷な決断に迫られるリッグ。 ギルドの為と心を殺して利益を追求し、そんな彼を遠くに感じ離れていく仲間。 この物語は、ファンタジー世界での起業、種族間の間から生じる雇用問題をテーマにしたヒューマン&デミ・ヒューマンドラマである。 果たしてリッグが最後に選ぶのは、情か利益か…
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