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少しの沈黙のあと、コクッと〝猫〟が小さく頷いた。
…涙は止まっていたようだが、まだ俺の手は取ろうとしない。
俺に着いてきていいものか、迷っているようだった。
こいつは今までもずっと、こういう生活をしてきたんだろうな。
その中で、俺みたいな奴に声をかけられたことがあったんだろう
ただ、声をかけた奴らが、こいつにとって〝悪者〟だったことは、こいつの態度から分かる。
だから余計に、俺の事を警戒している。
「俺がお前にいま声を掛けたのは、ただの気まぐれだ。」
助けてやろう、とか
そんな善人の考えじゃない。
ただ、俺の作った飯を食べてくれる
そんな奴をたまたま見つけたから。
お前の為じゃない
俺のために、家に来い。
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