第1話

12/41
前へ
/64ページ
次へ
「とりあえず、食うモン温めるから、まずは風呂入ってこい」 あのあと、 俺の弱点を知ったこいつは、恐る恐るといった感じで、俺に近づき…そして ぴとっ、と皮付き玉ねぎを俺の鼻に押し当て、俺の逆鱗(げきりん)に触れた。 そして、いまそいつは、俺の家の玄関で物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回していた。 「その小汚い格好で俺の家をうろつかれたら困る。タオルやるからさっさと入って綺麗にしてこい、風呂はここだ。」 驚いて目を見開くそいつの返答は聞かぬまま、洗面所とお風呂があるその場所に無理やり押し込んで、ドアを閉めた。 …さて、あいつが風呂の間、俺は料理を温めるか。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加