第1話

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料理は、人の心を現す。 昔、大切な人から教わった言葉だ。 いつか、俺の作った料理を食べてほしい そう、思っていた。 それまでは、その人にだけは、俺の料理を食べさせることを拒んでいた。 …完璧で、美味しい料理を、その人に食べてもらいたかった……から。 目の前にある料理は、こいつの為に作ったものではないけれど、 〝あの人〟を想って作ったこの料理を、ただ棄てるのには惜しくて つい、声をかけていた。 「……どう?」 スープを一口こくんと飲んだあと、ピタッと固まってしまったこいつに、口に合わなかったのかと不安になった。
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