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まだ食べられるのか、と思いながらも
〝猫〟のその反応が嬉しくて
冷蔵庫にあるケーキを用意すべく、席を立ったとき
くいっ、とシャツの袖を後ろから引っ張られた。
そんなことをする奴は、今この家で1人しかいない。
「…どうした?」
振り向き、
顔を上げた〝猫〟の表情を見て、驚いた。
「……おま、え…泣いてんのか?」
ぽろぽろと瞳から溢れる雫が、そいつの頬を濡らしていた。
「…りょ…り」
「…え?」
「…料理、すごくすごく、美味しかったっ」
ご馳走さまでした
でもケーキも食べる
そう言って、頬に伝う涙とは反対に、スッと柔らかく細められた目に眩しい笑顔を浮かべる、拾った〝猫〟
そんな〝猫〟を一瞬、
可愛い
と思ってしまった俺は、
このときすでに、こいつに惹かれていたのかもしれない。
…そんなこと、ぜってぇ言わねぇけどな?
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