第1話

18/41
前へ
/64ページ
次へ
そのあと、さすがに全部は食べられなかったのか、〝猫〟は、それでもケーキを半分平らげた。 …こいつの胃袋はブラックホールなのか? 残った分は、明日の朝食のデザートに取っといてやる ケーキにラップをしながらそう言うと、 〝猫〟は驚いたように目をまんまるにした。 「あした、も…ここにいて、いいの?」 きゅっと唇を固く結び、今にも泣き出しそうなそいつ …夕飯を食わせたら、さっさと追い出すとでも思ってたんだろうか、こいつは… 我慢できなくなったように、ずびぃっと小さく鼻をすする姿は、正直ちょっとツボだ。 「明日でも、明後日でも ……お前がここに居たいと思うだけ、好きに居ればいい。」 淹れたての紅茶をズズッと啜り、俺はそう口にした。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加